CASE
株式会社明日香
「保育士等の生涯キャリアサポート」を合言葉に、保育業界の人材派遣・人材紹介、自治体からの子育て関連施設の受託運営を手がける株式会社明日香様。関東、東海、近畿エリアに2,000名規模のスタッフを擁し、保育士の就業をサポートする同社が重視するのは、応募数そのものより、スタッフが園で信頼を築き、長く働ける関係づくりです。派遣から園での直接雇用への移行まで見据えた「三方よし」の支援を事業の柱にしています。
そんな理念を掲げる明日香様ですが、実は「求人広告の運用の属人化」という課題を抱えていました。
求人運用を本部集約型へと改革するためのプロジェクトを牽引したのが、今回お話を伺ったご担当者様です。前職の百貨店時代に培ったプロジェクト管理の経験を買われ、求人掲載業務の整理と改善を担うようになりました。
この事例では、コーディネーター各自が求人案件を管理する「属人的な運用」からいかにして脱却し、応募率前年比1.2倍という大きな成果を出したのか、その改善プロセスを紹介します。明日香様の運用に適した管理システムの導入や求人原稿の改善を提案し、プロジェクトに伴走したのは、弊社営業担当の飯酒盃(いさはい)です。
トラコムが明日香様を担当させていただくようになったのは、求人の管理体制が本部集約型に移行した後のことです。以前は、各エリアの人材コーディネーターが個々に案件を社内の求人管理システムに入力する方式がとられていました。
当時は入力ルールや掲載基準が統一されておらず、園名を公開するかどうかも担当者ごとに判断が分かれるなど、求人運用が大きく属人化している状態でした。
こうした状況を変えるために、まずは社内の求人管理システムの入力を本部に集約する仕組みを導入。コーディネーターが作成した案件情報をもとに、本部の専任担当者がシステムに入力・反映させる方式に移行します。
管理体制が整えられたように思われましたが、案件ごとに掲載されている求人原稿の数が整理できておらず、明日香様に想定外のアクシデントが発生します。
管理体制が変わり、大量の案件を運用するなかで発生したのが、「Indeed」 の ポリシーに抵触し、ペナルティにより求人が非掲載になる」という問題です。Indeedでの掲載を再開するために、当時の運用を担当していた代理店の変更を検討し、弊社へお問い合わせをくださったのが、取り組みスタートのきっかけでした。
トラコムへの運用切り替え後、Indeed掲載を再開できましたが、案件管理の仕組みが十分に整っておらず、運用体制の見直しが急務でした。

保育業界の採用で大きなボトルネックになっているのが、保育園・求職者がそれぞれ求める勤務時間のズレです。
保育園側が求めるのは「フルタイム勤務」であるのに対し、求職者の中で最もボリュームの大きい復職希望層が求めるのは「時短勤務」。この両者のニーズが噛み合わず、ミスマッチが起こりやすいのです。
さらに、保育士資格があればブランクがあっても復職しやすいため、より条件の良い職場へ移りやすく、人材の流動性が高いという点も問題視されています。

運用体制の再構築にあたり、まず飯酒盃から提案したのが、Indeed非掲載リスクを回避するための原稿マスタ整備です。明日香様が抱える膨大な数の案件・求人を整理し、非掲載を回避しつつ案件数を最大化するために、まずは運用の土台となる原稿マスタを作成しました。
マスタの数は約160パターンにも及びましたが、これをベースにすることで、職種・募集時間帯・施設別の原稿を安全かつ効率的に作成できるようになりました。

原稿マスタの作成とともに、Googleフォームによる掲載依頼のフローを導入しました。
| コーディネーターの名前を入力 ↓ 担当案件が表示 ↓ 案件を選択、募集時間帯や職種を入力 ↓ 補足事項やアピールポイントを入力 ↓ 上記情報をもとにトラコムが原稿マスタにかけ合わせて求人原稿の大枠を作成 |
Googleフォームと原稿マスタの併用により、案件ごとに「属性」「時間帯別」など、どの原稿が掲載されているのか、管理を容易にする仕組みを構築しました。
本部への情報集約(CMSの活用)を進める一方で、明日香様では応募者の管理や主要求人サイトとの連携を強化するため、かねてより別の「採用管理システム(ATS)」を導入されていました。
しかし、Googleフォームを用いた新しい運用フローへの対応や、主要求人サイト(Indeed・求人ボックス・スタンバイ)の仕様に合わせた原稿作成、さらには事業部ごとの費用対効果の可視化など、当時利用していたシステム環境のまま改善を進めるには限界を迎えていました。
そこで、明日香様の採用活動をさらに次のステージへ引き上げるため、飯酒盃は従来のシステムから、マーケティング視点を備えた新たな採用管理システム「トルー」へのリプレイス(乗り換え)を提案します。
採用活動の根幹を支えるシステムの刷新は、まさに失敗の許されない大規模なプロジェクトの幕開けでした。
システムの移行作業は2025年9月に実施されましたが、当初は求人の表示が一部崩れてしまうといった予期せぬトラブルが発生。9月の運用開始から、運用が安定するまでの4ヶ月間は、求人の表示や中身の目視チェックといった、地道な作業を繰り返す日々が続きました。
ご担当者様から「明日香の求人運用史上で最も大変だった」と語られるほどの移行プロジェクトを陰で支えていたのが、明日香様を専任で担当していた、トラコムの運用担当です。
運用担当に対して、「細かな要望や突発的なエラーに対しても、迅速かつ正確に対応してもらえました。私たちのビジネスにとって、求人サイトに掲載されている情報こそがすべての生命線です。それを守るために、ずっと泥臭い実務に付き合って伴走してくれたからこそ、無事にシステムの移行を完了させることができました」と評価いただいています。
システムを提案して終わるのではなく、安定して運用できる状態になるまで伴走することが、今回の取り組みにおけるトラコムが目指す体制でした。

| 採用サイトの作成から、各求人サイトへの広告配信、応募者管理までを一元化できる、マーケティング視点を備えた採用管理システム(ATS)。Indeedをはじめ複数の求人サイトと自動連携し、媒体ごとの特性に合わせて求人原稿を最適化して配信。応募数の最大化と採用単価の改善を、ワンストップで実現します。レポート機能も充実しており、ボトルネックの特定やデータを用いた改善の精度を最大化させます。 |
案件管理の仕組みおよびトルーによる運用体制を整えた後は、求人を見た求職者が応募に至るまでの導線も改善しました。
求職者が検索結果の一覧画面を見た際、求人が競合の中に埋もれてしまえば、詳細ページを開いてもらえません。そこで、求人の特徴が一目で伝わる見出しや、条件を端的に示すタグの設定方法を検討しました。
単に検索キーワードを入れるのではなく、勤務時間や勤務地、働き方など、求職者が特に重視する情報が一覧画面で伝わる構成を意識しています。求人詳細ページでは、施設や職場の雰囲気が伝わるビジュアルを適切に配置しました。

さらに、求職者が不安を感じやすい「応募後の選考ステップ」や「応募フォームの入力画面」も画像として原稿内に掲載。

求人へ興味を持っていても、応募した後にどのような手続きがあるのか分からず、行動をためらう求職者もいます。応募後の流れや入力項目をあらかじめ見せることで、求職者が応募までの行動を具体的にイメージしやすい原稿へと改善しました。
案件の発注フロー改革、トルーへのシステム移行、求人原稿の改善を進めた結果、求人集客の安定化と運用効率・数値に変化が表れました。
前年との比較では、応募率は1.2倍に改善されました。検索一覧画面での見せ方や、求人詳細ページから応募までの導線を改善したことで、求人をクリックしたあとの詳細ページを見た求職者が応募へ進む割合が向上しています。
数値面の改善に加え、Indeedの安定した掲載フローを確立できたことも大きな成果です。
従来は大量の案件を運用するなかで、同一の勤務地・職種による重複掲載が発生し、Indeed求人が非掲載となる事態が多発していました。
飯酒盃から提案した、原稿マスタの作成とGoogleフォームを使用した求人掲載フローを取り入れることで、重複を未然に防ぐとともに、案件ごとの掲載状況を可視化できたことで、安全かつ安定したIndeed運用体制を実現できました。
掲載フローの整備とあわせて取り組んだのが、求人データの可視化です。データを分析することで、応募が集まりやすい求人と、ほとんど反応がない求人の違いを明確に把握できるようになりました。
これまではすべての求人に対して一括で予算を投入していましたが、改善後は応募状況や募集の優先度に応じて、効果が期待できる案件へ予算を重点的に配分できる体制を整えています。
反応が弱い求人についても、すぐに運用費用を追加するのではなく、職種名や勤務条件の見せ方、求人原稿の内容を見直したうえで、次の施策を検討できるようになりました。
これまでの感覚や経験だけに頼る運用から、案件ごとのデータをもとに、改善内容と予算配分を判断する運用へ。明日香様が以前から目指していた、属人化ではなくデータを活用した求人広告運用の基盤を構築しました。
明日香様がトラコムとの取り組みを通して、特に評価してくださっているのが、課題や実現したいことに対する理解の深さです。その背景には、明日香様が目指す人材支援のあり方があります。
ご担当者様は、「スタッフさんには、派遣法に基づき同じ保育園で最長3年間しっかりと働いていただき、現場と信頼関係を築いた4年目の段階で、その園に直接雇用(正社員やパート)として人材紹介の形で切り替える。これが求職者、保育園、そして明日香の三方にとって最も幸せなストーリーであり、私たちの目指す究極の形です」と語ります。こうした姿勢こそが、求職者からも保育園からも選ばれ続けている大きな理由です。
応募数の獲得で終わらせず、就業後の定着と、園との信頼関係まで見据える。だからこそ、求人情報の正確さや、求職者が安心して応募できる原稿づくりが、求職者や園との信頼関係を築くための「最初の起点」となります。そうした想いを共有できるトラコムとの関係について、ご担当者様は次のように続けます。
「トラコムと仕事をしていて何より素晴らしいと感じるのは、お互いに同じ言語で話せることです。私たちがやりたいことや、抱えている課題の本質を理解してもらえるため、コミュニケーションにストレスがありません。単なる発注側と受注側という関係を超えた、パートナーシップを築けていると感じています。
明日香では、新しい施策を導入して終わるのではなく、結果を見ながら継続的に改善していきたいという思いがあります。トラコムは、その思いを理解し全力で伴走してくれました」

前述のように、システム移行を実務面から支えた運用担当者についても、高い評価をいただいています。表面的な提案だけでなく、安定運用まで実務に入り込み、改善を続けること。営業担当と運用担当が一体となった伴走支援が、求人運用の改革と成果につながりました。
今回の取り組みで実現したのは、求人運用の効率や応募率の改善だけではありません。求人ごとの特徴や応募後の流れを分かりやすく伝えることは、求職者が自分に合った職場を見つけるための第一歩です。
応募後は、株式会社明日香様のコーディネーターが、求職者のキャリアやライフスタイルを丁寧にヒアリングし、就業後もスタッフと保育園の双方を継続的にフォローします。
求人広告によって応募を集めることをゴールとせず、その先にある就業と定着、求職者と保育園の信頼関係まで見据える。トラコムは今後も、明日香様が目指す「三方よし」の人材支援を求人運用の面から支え、求職者と保育園のより良い出会いにつながる改善に伴走していきます。
株式会社明日香様は、「保育士等の生涯キャリアサポート」を合言葉に、保育分野を中心とした人材派遣・人材紹介、子育て関連施設の受託運営などを展開しています。求職者へ求人を紹介するだけでなく、キャリアやライフスタイルを丁寧にヒアリングし、一人ひとりに合った働き方を提案。就業後もコーディネーターがスタッフと施設の双方を継続的にフォローし、長く安心して働ける環境づくりを支援しています。