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最低賃金は毎年見直されるため、常に最新の情報をチェックしておくことが大切です。そんな最低賃金ですが、2025年は過去最大となる全国平均63円の引上げが決定しました。
当ページでは2025年の地域別最低賃金の速報や、引上げ額決定の背景について解説。最低賃金が改定された際に企業が行うべき対応や、引き上げに伴うコスト増加に備えるためにできる対策についてもご紹介します。
「最低賃金」とは、最低賃金法によって定められている賃金の最低額のことです。一般的に最低賃金と呼ばれているのは「地域別最低賃金」のことで、具体的な金額は都道府県ごとに異なります。
最低賃金には、「地域別最低賃金」の他に、一部の産業を対象とした「特定(産業別)最低賃金」もあります。「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の両方が設定されている仕事では、金額が高い方が適用されるため、注意しておきましょう。
最低賃金は、正社員のみならず契約社員や派遣社員、パート・アルバイトなど、全ての雇用形態に適用されます。また、たとえ雇う側(企業)と雇われる側(従業員)が「給与は最低賃金未満でもよい」と合意したとしても認められません。人材を雇用する際は、必ず最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。
最低賃金の基本について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
最低賃金の改定が行われ、実際に引き上げ後の金額となるのは、毎年10月頃です。具体的な効力発生日(発効日)については各都道府県で異なるため、注意しておきましょう。
新しい最低賃金の金額は、毎年7月頃に提示される引き上げ額の目安を参考にしつつ、審議を重ねた上で決定されます。
なお、10月に改定が行われるのは地域別最低賃金です。特定(産業別)最低賃金に関しては、毎年10月から翌年2月の間に改定が行われます。
2025年度の最低賃金は「63円アップ(全国平均※加重平均)」という目安が提示され、過去最大の引上げ額になることが決定しました。ここからは各都道府県ごとに2025年の最低賃金の引き上げ額を解説します。
まず、ABCランクごとの引上げ額は以下の通りです。
ランク | 都道府県 | 2025年引上げ額目安(円) |
A(6都府県) | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 | 63円 |
B(28道府県) | 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡 | 63円 |
C(13県) | 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 | 64円 |
また、各都道府県における答申された改定額と引上げ額をまとめています。※こちらは2025年9月9日時点の情報となります。
都道府県名 | 答申された改定額(円) | 引上げ額(円) | 発効予定年月日 |
北海道 | 1,075 | 65 | 2025年10月4日 |
青森 | 1,029 | 76 | 2025年11月21日 |
岩手 | 1,031 | 79 | 2025年12月1日 |
宮城 | 1,038 | 65 | 2025年10月4日 |
秋田 | 1,031 | 80 | 2026年3月31日 |
山形 | 1,032 | 77 | 2025年12月23日 |
福島 | 1,033 | 78 | 2026年1月1日 |
茨城 | 1,074 | 69 | 2025年10月12日 |
栃木 | 1,068 | 64 | 2025年10月1日 |
群馬 | 1,063 | 78 | 2026年3月1日 |
埼玉 | 1,141 | 63 | 2025年11月1日 |
千葉 | 1,140 | 64 | 2025年10月3日 |
東京 | 1,226 | 63 | 2025年10月3日 |
神奈川 | 1,225 | 63 | 2025年10月4日 |
新潟 | 1,050 | 65 | 2025年10月2日 |
富山 | 1,062 | 64 | 2025年10月12日 |
石川 | 1,054 | 70 | 2025年10月8日 |
福井 | 1,053 | 69 | 2025年10月8日 |
山梨 | 1,052 | 64 | 2025年12月1日 |
長野 | 1,061 | 63 | 2025年10月3日 |
岐阜 | 1,065 | 64 | 2025年10月18日 |
静岡 | 1,097 | 63 | 2025年11月1日 |
愛知 | 1,140 | 63 | 2025年10月18日 |
三重 | 1,087 | 64 | 2025年11月21日 |
滋賀 | 1,080 | 63 | 2025年10月5日 |
京都 | 1,122 | 64 | 2025年11月21日 |
大阪 | 1,177 | 63 | 2025年10月16日 |
兵庫 | 1,116 | 64 | 2025年10月4日 |
奈良 | 1,051 | 65 | 2025年11月16日 |
和歌山 | 1,045 | 65 | 2025年11月1日 |
鳥取 | 1,030 | 73 | 2025年10月4日 |
島根 | 1,033 | 71 | 2025年11月17日 |
岡山 | 1,047 | 65 | 2025年12月1日 |
広島 | 1,085 | 65 | 2025年11月1日 |
山口 | 1,043 | 64 | 2025年10月16日 |
徳島 | 1,046 | 66 | 2026年1月1日 |
香川 | 1,036 | 66 | 2025年10月18日 |
愛媛 | 1,033 | 77 | 2025年12月1日 |
高知 | 1,023 | 71 | 2025年12月1日 |
福岡 | 1,057 | 65 | 2025年11月16日 |
佐賀 | 1,030 | 74 | 2025年11月21日 |
長崎 | 1,031 | 78 | 2025年12月1日 |
熊本 | 1,034 | 82 | 2026年1月1日 |
大分 | 1,035 | 81 | 2026年1月1日 |
宮崎 | 1,023 | 71 | 2025年11月16日 |
鹿児島 | 1,026 | 73 | 2025年11月1日 |
沖縄 | 1,023 | 71 | 2025年12月1日 |
全国加重平均 | 1,121 | 66 | – |
2025年度の最低賃金が全国平均63円と過去最大の引上げ額となった背景に、昨今の物価高の影響や賃上げの影響があります。
上記以外にも、政府が「2020年代に全国平均でを1500円を目指す」といった目標や「地方と都心部における賃金格差の改善」を掲げており、それらが起因した結果、Cランクの引上げ額が64円とABランクよりも高い引上げ額となっています。
最低賃金の改定は、人材を雇う企業にとっても、雇われて働く人にとっても大きな影響を及ぼすことです。ここでは、最低賃金の改定によって企業側にどのような対応が必要なのかを解説します。
まずは、自社で働く従業員の給与が改定後の最低賃金を下回っていないかを確認し、必要に応じて給与額を変更しましょう。正社員はもちろんのこと、契約社員、パート・アルバイト、試用期間中かどうかなど、雇用形態や雇用期間にかかわらず対応が必要です。特に試用期間中の場合は、給与を改定前の最低賃金ギリギリに設定しているケースも多いため、必ず確認しましょう。
また最低賃金は、改定前から働いている従業員にも適用されます。どのようなケースであっても、最低賃金を下回る給与で人材を雇用することは認められません。
最低賃金は基本的に時給で示されるため、給与が月給の場合には時給換算で計算する必要があります。詳しい計算方法はこちらのページをご参照ください。
公開中の求人に記載している給与についても、最低賃金を満たしているかどうか確認が必要です。掲載中に改定が行われた場合は、できるだけ早く新しい最低賃金以上の金額に修正しましょう。
最低賃金を満たさない求人は、サイトによっては掲載停止になる場合もあります。自社の採用ページを公開している場合は、そちらに記載している賃金もチェックしておきましょう。
最低賃金の引き上げで要注意なポイントが、いわゆる「106万円の壁」の問題です。最低賃金の引き上げによって、社会保険に加入せず扶養の範囲内で働いているパート・アルバイトの時給を上げると、扶養から外れてしまう可能性があります。
パート・アルバイトの場合、所定内賃金(基本給と各種手当ての合計額)が月額8.8万円未満であれば、社会保険の適用対象とはなりません。しかし、最低賃金の引き上げによる賃上げによって所定内賃金が8.8万円以上になると、対象となる可能性があります。
パート・アルバイトが社会保険の対象とならないようにするには、労働時間を減らすなどの対応が必要です。しかし、企業側から従業員に「働く時間を減らしてほしい」と伝えれば、労働意欲の低下や離職につながるおそれがあります。反対に「扶養から外れたくないからシフトを減らそう」と考える人が多ければ、慢性的な人手不足を招きかねないでしょう。
従業員本人の意向も確認し、社会保険の加入を希望する人については、規則に従って手続きを進めることをおすすめします。「106万円の壁」については、こちらの記事の解説もご確認ください。
▶2024年10月社会保険が適用拡大!アルバイト・パート「106万円の壁」への対策
こちらの調査では、人材不足を感じている企業を対象としたアンケート結果をまとめています。各企業が感じている課題や、どのような採用活動を行っているか、最も効果的だと感じた採用手法などをご紹介。今後の採用活動のヒントとしてぜひご活用ください。
最低賃金の改定後は、同業他社の給与の動向もチェックしましょう。最低賃金が改定されると、連動して給与相場も変動します。「最低賃金さえクリアすれば問題ない」という認識では、同業会社と比べて給与が低い状態になっていることに気づかない可能性があります。
給与は求職者が応募先を決める重要な要素の1つです。相場よりも低い給与を掲示すれば、それだけで採用市場での競争力が落ちてしまうでしょう。実際の給与額は、勤務地や業界の「平均時給」なども参考にしつつ、常に最新の相場を把握して決めることが大切です。
平均時給に関するデータは、こちらのページでご確認ください。
こちらのアンケートでは、現役大学生250名を対象に学生が求める企業像や働き方の価値観を分析しています。学生が「応募の際に気にしている情報」などもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
最低賃金の引き上げに伴って給与を増やせば、人件費が増えることになります。そのコスト増加分を補うためにできる対策として、以下の3つが考えられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
賃上げをする場合、公的な助成金や補助金を利用できる場合があります。一例はこちらです。
名称 | 概要 |
業務改善助成金 | 事業所内で最も低い賃金(事業所内最低賃金)を引き上げると同時に設備投資や人材育成などを行った場合に、費用の一部が助成される |
キャリアアップ助成金 | パート・アルバイトや派遣社員といった非正規雇用労働者の正社員化や基本給アップを実施した場合に、助成金が受け取れる |
ものづくり補助金・IT導入補助金 | 生産性向上に役立つ製品・ツールの開発、DX推進、ITツールの導入などに対し補助金が受け取れる制度で、賃上げによる加点がある |
他にも県や市区町村で独自の補助金・助成金を設けていることがあります。自社で活用できる制度にはどのようなものがあるのか、チェックしておきましょう。
人材採用で使える助成金について詳しくは、以下のページでも解説しています。
最低賃金引き上げによる人件費の増加をカバーするには、業務の効率化を図ることも重要です。業務効率化には初期投資が発生するものですが、長い目で見れば、人件費の削減や人手不足の解消につながることも期待できます。
例えば業務効率化によって10人でこなしていた作業を8人で完結できるようになれば、人員を削減することも可能です。日常的に残業が発生する職場であれば、勤務時間内にこなせる業務量を増やすことで残業にかかる人件費を減らせます。
一例として「採用業務」を効率化するのであれば、人事向けの業務効率化サービスを使うのがおすすめです。こちらのページでは、採用業務の効率化に利用できるサービスを紹介しているので、ぜひご参照ください。
人件費増加の対策として、従業員個人のパフォーマンス向上や定着率にも目を向けましょう。従業員が質の高い仕事をこなせるようになれば、生産性の向上や企業の業績アップが期待できます。さらには定着してもらうことで、採用コストの削減だけでなく、生産コストの向上が見込めます。
従業員のパフォーマンスを向上させるには、職場の環境を整える、リモートワークやフレックスタイムを導入して柔軟な働き方を可能にする、といった方法があります。また、スキルアップや資格取得のための研修を実施してもよいでしょう。仕事で必要な知識やスキルが身につくことで、従業員個人のモチベーション向上も期待できます。
研修を実施する際は、手軽に利用できるオンライン研修サービスを活用するのもおすすめです。詳しくはこちらのページをご覧ください。
▶【無料も有】オンライン研修サービスまとめ/ビジネススキルUPにお役立ち!
本資料では、「働き続けたい職場」をつくる際に押さえるべき3 つのポイントや定着率アップへ向けた具体策などをまとめました。離職防止のために取り組むべきチェック項目や成功事例もご紹介しているので、ぜひご活用ください。
最後に、最低賃金の引き上げに関してよくある疑問をまとめました。最低賃金制度を正しく把握し、手続きの漏れやミスがないように対応しましょう。
最低賃金の引き上げ前に雇用契約を結んだ場合も、改定後は新しい最低賃金以上の給与を支払わなくてはなりません。
新たな賃金で雇用契約を締結し直すことは必須ではありませんが、契約書に記載されている給与が最低賃金を下回っている場合、賃金に関連する部分が無効となります。変更後の賃金については、給与明細や給与改定通知書などに記載して、従業員本人に通知しておきましょう。
なお就業規則に賃金が記載されているケースで、その金額が最低賃金を下回っている場合は、修正した上で労働基準監督署へ「就業規則変更の届出」をしておきましょう。
最低賃金は、給与が月給制の従業員も対象です。月給を「時給換算した給与」が、最低賃金を下回らないようにする必要があります。
月給制の場合、最低賃金の「対象となる手当」と「対象外の手当」を分けて計算する必要があり、やや複雑です。うっかり最低賃金を下回らないよう、十分に留意しましょう。
月給制の最低賃金を計算する方法については、こちらのページでご確認ください。
新しい最低賃金は、効力発生日(発効日)から有効です。毎年10月の初旬ごろが発効日になることが多いものの、具体的な日付は各都道府県によって異なります。審議が長引いた場合は、例年より遅くなる可能性もあります。
2025年の最低賃金は、47都道府県で63円以上の大幅アップが決定しました。最低賃金引き上げによる人件費の増加が避けられず、対策を検討している企業も多いのではないでしょうか。
人件費の増加分をカバーするにはまず、助成金・補助金の活用を検討しましょう。また、業務効率化や従業員のパフォーマンス向上を図り、生産性アップや業績アップにつなげるのもよい方法です。
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過去の最低賃金に関するデータ・推移については以下よりご参照ください。
▶【最新版】2020年度 都道府県別最低賃金まとめ
▶【最新版】全国都道府県別最低賃金まとめ(2021年度)
▶【2022年度版】最低賃金の全国都道府県別金額と引き上げ状況
▶【2023年度版】最低賃金引き上げの見通しは?注意点と企業の対策も解説
▶【2024年】最低賃金を解説!引き上げの時期や企業が対応すべきこと
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