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自社で活躍できる人材を見極めるため、採用活動において大切な役割を担うのが面接官です。また、企業の顔として、その言動が自社のイメージを左右する存在でもあります。優秀な面接官によって効果的な面接が実施できる体制を整えることは、企業にとって重要な課題といえるでしょう。
この記事では、面接官の役割や基本的な面接の流れに触れながら、面接官が意識したいテクニックや心得、よく使う質問例、面接官の選び方やトレーニング方法などについて詳しく解説します。面接官が使ってはいけないNG質問や、オンライン面接で意識したいポイントも紹介しているので、ぜひご参照ください。
面接官の主な役割は、次の2つに大別されます。
それぞれ以下に詳しく解説します。
面接官の役割の1つは、候補者が自社に見合う人材かどうか、適性を見極めることです。
自社で能力を活かせるか、価値観や文化にフィットするか、求める人材像にマッチするかなど、履歴書やスキルシートといった書類だけでは分からない内容を実際に会って分析し、評価する役割です。
面接官が分析・見極めを行うことで、入社後にお互いのニーズや認識が一致しない状態、いわゆる「採用ミスマッチ」を防ぐことができます。
面接官がこの役割を果たすためには、話の内容だけでなく表情や話し方、立ち居振る舞いなどを客観的に分析するスキルが必要です。
面接は、候補者が企業に対して自分をアピールするだけの場ではありません。企業が候補者に自社の魅力をアピールし、入社の志望度を高めてもらう機会でもあります。つまり面接によって、候補者の「ここで働きたい」という意欲をより強くしてもらうことも、面接官の重要な役割です。
候補者は、コーポレートサイトや企業パンフレットなどの公開情報に加えて、面接で得た情報やその場の雰囲気、印象などを総合的に考慮して入社を判断します。面接官は候補者に「見極められる側」として誠実に対応しながら、自社の魅力をしっかりと伝える必要があるのです。
基本的な面接の流れは、次の6ステップです。
まず、いきなり面接を始めるようなことはせず、導入としてアイスブレイクを行いましょう。世間話などでその場を和ませることで、候補者の緊張が和らぎ、本音を引き出しやすくなるという効果があります。
次に、自社の事業内容や人材募集に至った経緯など、企業側が概要を説明します。簡単な資料やスライドなどを用意してもよいでしょう。
自社の概要を説明したら、候補者に自己紹介をしてもらいます。その後、面接官から候補者への質問に入ります。「クローズドクエスチョン」と呼ばれる「はい」「いいえ」で答えられるような質問だけではなく、候補者が自由に答えることで会話を広げられる「オープンクエスチョン」と呼ばれる質問をすることが重要です。
ひと通りの質問が終わったら、候補者から企業への質問を受け付けます。質問の有無やその内容によっては、入社意欲を量ることもできるのでしっかりと話を聞きましょう。
最後に条件確認や事務連絡などを行ったら、面接は終了です。結果の伝達方法やその期限も忘れずに知らせておきましょう。
続いて、面接官がよく使う質問例を見ていきましょう。次の7種類に分類して、それぞれ具体的な質問の仕方を解説していきます。
アイスブレイクでは、候補者の緊張をほぐすために、面接とは無関係の差し障りのない話題について気軽な雰囲気で質問しましょう。
長い時間をかける必要はありませんが、その後に続く面接をスムーズに行うためにも大切なステップです。志望動機など、面接の核心に迫るような質問はこの時点では避けましょう。
アイスブレイク時によく使われる質問の具体例は次の通りです。
・最近めっきり寒くなりましたが、体調はいかがですか?
・あいにく雨が降ってしまいましたね。移動は大変ではなかったですか?
・電車で来られました?駅から迷ったりはされませんでしたか?
・ご自宅からここまではどれくらいかかりましたか?
・この部屋、寒くないですか?遠慮なく仰ってくださいね。
アイスブレイクのコツや質問例について詳しくは、以下のページをご参照ください。
面接官必見!面接時のアイスブレイクのコツとは?質問例を紹介
経験やスキルに関しては履歴書などの書類からも一定の把握ができるため、そこからは読み取れない踏み込んだ内容を深掘りするようなイメージで質問します。
「何ができるのか」によって自社が求めている人材かどうかを見極めるのはもちろん、「どのようにそれを実現するのか」「それによってどういった貢献が可能なのか」「これまでの経験を今後どう活かしたいのか」といった内容まで見極められるような質問をすることが大切です。
経験・スキルを確認する質問例は次の通りです。
・これまでの経験やお持ちのスキルの中で、ご自身が考える一番の強みはどれでしょうか?その理由もお聞かせください。
・最も得意な業務について、理由も含めて教えてください。
・これまでの最も大きな功績はどのようなものですか?それをどうやって実現したのでしょうか?
・過去の業務で経験した最も大きなトラブルと、それを乗り越えた方法を教えてください。
・大きなミスや失敗をした経験はありますか?もしあれば、そこから得た教訓も含めて教えてください。
優秀な人材かどうかだけでなく、自社とマッチするかどうかを見極めることも重要です。その人の協調性や、他のメンバーとの親和が図れるかどうかを判断できるような質問をしてみましょう。また自社の社風や企業理念について、印象などを尋ねる質問も有効です。
例えば以下のように質問できます。
・チームで行う業務では、どのようなことを意識しながら仕事を進めていましたか?
・好きになれない人の傾向や苦手なタイプを教えてください。もしそのような人が職場にいた場合にはどうしますか?
・価値観や性格が合わない人とスムーズに仕事をするには、どのような心掛けが必要だと思いますか?
・弊社の企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)について、どのように感じますか?
・弊社についてどのような印象(イメージ)がありますか?
志望動機についての質問は、面接における質問の代表例です。志望動機を尋ねることで自社への入社意欲を見極めることができ、入社後に積極的に活躍し、長く働いてくれるかどうかを判断できます。
さらに認識のずれによるミスマッチを防ぐためにも有効です。候補者が抱く入社後のイメージに認識のずれがある場合には、その場で自社について説明を加え、入社前に理解を深めてもらうことができます。
志望動機を見極める質問例は次の通りです。
・当社に関心を持った理由を教えてください。
・入社したらどのような業務に携わりたいですか?
・当社にはどのようなイメージをお持ちですか?遠慮なくお聞かせください。
・会社選びの際に重視していること、入社する会社に期待したいことを教えてください。
・このような会社にだけは入社したくないというポイントはありますか?
価値観やビジョンを尋ねる質問によって、仕事に対するスタンスはどのようなものか、今後のキャリアプランをどう考えているかなどを知ることが可能です。入社後、どの部署に配属するか、どういった業務やプロジェクトに従事してもらうかを考える際にも重要な判断材料となります。
同じような質問であっても角度を変えて繰り返し聞いてみることによって、入社後の活躍や成長度合いを具体的にイメージできるでしょう。
価値観・ビジョンを尋ねる質問例は次の通りです。
・あなたにとって仕事とは何ですか?
・仕事をしていて、どのようなことにやりがいを感じますか?
・今後身につけたい知識やスキルにはどのようなものがありますか?
・今後の仕事でどういった役割やポジションを目指したいですか?
・10年後の自分はどのようになっているか、想像して教えてください。
人間性や性格に関する質問からも、自社とのマッチ度や適切な配属部署などを見極める判断材料が得られます。コミュニケーション力やストレス耐性を分析するためにもぜひ質問しておきましょう。
ただし、あまりに踏み込み過ぎると、プライバシーの侵害やハラスメントと捉えられる恐れがあるため注意しなければなりません。慎重に言葉を選びながら丁寧に質問する必要があります。
人間性・性格を分析する質問の具体例は次の通りです。
・人と会話するときに気をつけているポイントはありますか?
・これまで周りから、どのような人物であるとの評価を受けてきましたか?
・どのようなときにストレスを感じますか?
・普段心掛けているストレスとの向き合い方や、解消方法を教えてください。
・ご自身の弱点や不得意と考えていることを教えてください。
質問に対する回答があいまいだったり、抽象的だったりする場合には、さらに質問をして深掘りすることが大切です。候補者を具体的かつ正確に理解し、質問の目的を適切に達成するためにも重要なポイントといえます。
ただし、あまりにしつこく質問するのは候補者にストレスを与え、圧迫面接という印象を抱かれてしまう恐れもあるため注意が必要です。
相手の回答をさらに深掘りする質問では、「5W1H」を意識するとよいでしょう。例えば次のような質問で深堀りができます。
・(Who:誰)具体的に挙げるなら誰でしょうか?
・(What:何)それは例えば何でしょうか?
・(When:いつ)それはいつ頃のことですか?
・(Where:どこ)そのスキルはどこで身につけましたか?
・(Why:なぜ)なぜ成功できたと思いますか?
・(How:どのような)どのような方法で行いましたか?
面接官が使ってはいけないNG質問として、特に要注意なのは次の3種類です。
「家族構成は?」「父親の勤務先は?」など、家族構成や家庭環境に関する質問は本人の能力とは基本的に関係がありません。「生まれはどちらですか?」といった本籍地や出身地、帰省先についての質問も同様です。就職差別とみなされる恐れもあるため、避けるようにしましょう。
また「結婚・出産しても仕事を続けたいと思いますか?」など、男女雇用機会均等法に触れるような質問もNGです。
これらの質問は、面接の前後で雑談として「話題にするだけ」でも問題になることがあります。こちらから質問しないことはもちろん、会話の流れがNGの話題に進まないようにも注意しましょう。
なお、面接官が使ってはいけないNG質問について詳しくは、以下のページをご参照ください。
え、ダメなの?実は面接で聞くのはNGな質問まとめ
面接官が効果的に面接を実施するために、以下の3つを意識することが大切です。
以下、順に解説します。
面接では、質問など「言葉」を工夫するだけではなく、「表情」や「ジェスチャー」といった非言語コミュニケーションを意識することが重要です。
有名な法則に、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」があります。これは、人間同士のコミュニケーションにおいて、相手に影響を与える要素として言語情報は7%程度に過ぎず、聴覚情報が38%、視覚情報が55%を占めるという心理学の法則です。
面接官が候補者に対して良い印象を与えるには、言葉に注意するだけでは不十分で、視線・表情・相づち・ジェスチャーなどの非言語情報が大切であることが分かります。
このような心理学の法則を理解しておくと、面接の際に役に立つことが多くあります。以下のページで、面接で使える心理学の法則をいくつかご紹介しているので、ぜひご参照ください。
面接官が覚えておくべき、面接で使える心理学テクニック6選
面接のスタート段階でアイスブレイクを行うだけではなく、面接全体に渡って接し方に留意することで候補者の緊張をほぐし、リラックスしやすい雰囲気をつくることも重要です。
面接中の話し方や質問の仕方に気を配るのはもちろんですが、リラックスして話しやすい部屋を選ぶなど、面接場所についても考慮する必要があります。椅子とテーブルの配置にも気を配って、候補者に圧迫感を与えないように配慮しましょう。
適切な人材を選別できるよう「評価基準」を明確にしておくことは、面接官の必須事項です。
そのために「面接評価シート」を作成し、有効に活用することをおすすめします。面接評価シートとは、候補者を適切に評価するために、評価項目や評価基準を可視化したチェックシートのことです。加点・減点・段階評価といった評価方式を決めておき、面接評価シートに記入しながら面接を進めることにより、候補者を一定の基準に沿って評価しやすくなります。
また面接評価シートで面接の記録をしっかりと残すことで、社内で評価内容を共有でき、採用活動を振り返りながら今後に活かすことも可能です。
近年はオンラインでの面接も一般的となりました。オンライン面接でも、基本的なコツは通常の面接と同じですが、オンラインならではのポイントとして以下の3つを意識しましょう。
オンラインでのやり取りは対面よりも相手の反応を読みづらくなる傾向があるため、候補者の発言に対して、普段より大き目のリアクションで応えるよう意識することが大切です。
またカメラやパソコンなどの機器は余裕をもって準備しておきましょう。ギリギリに準備を始めてしまうと、何らかの機材トラブルで開始時間に間に合わなくなってしまうリスクが高くなります。
面接が始まったら、音声・映像の問題はないか、画面共有の資料は見えているかなど、相手の状況を常に確認しながら進めましょう。
オンライン面接での注意点について詳しくは、以下のページをご参照ください。
オンライン採用の注意点とは?メリットも解説
面接官を選ぶ際の基準はさまざまですが、特に次のような人は面接官に適している可能性が高いといえます。
自社の魅力を理解し、的確に発信できることは、企業の顔とも言える面接官には必須の条件です。候補者から自社について質問された際にも、滞りなく答えて自社の魅力をしっかりとアピールできるような人を面接官に選びましょう。
またコミュニケーション能力が高いことも、面接官に求められる基本スキルです。単に「話が上手いかどうか」よりも、候補者の緊張をほぐし、相手の本音を引き出せるような「聞き上手な人」を選ぶようにしましょう。
また、面接官が企業の顔となることを理解し、誠実な対応で好印象を与えられることも、面接官には欠かせない条件です。SNSが隆盛の昨今、候補者にネガティブなイメージを与えてしまうと、その情報は瞬く間に拡散されてしまいます。今の時代、面接官の印象1つが、企業活動に影響を与える恐れもあることを理解しておきましょう。
「面接官トレーニング」のプログラムを整えることで、面接官の対応品質を高め、自社の採用活動を底上げできます。面接官トレーニングの主な実施方法は、以下の4つです。
種類 | 特徴 |
講義・座学 | 経験豊富な面接官や外部講師など、面接のプロフェッショナルが講師となり、座学形式でレクチャーを行う方法。 |
ロールプレイング | 面接官役と候補者役に分かれ、特定のテーマに沿って面接を実演する方法。上述した「講義・座学」の一環として行われることもある。 |
メンターシップ | 実際の面接を想定し、経験豊富な自社の面接官と一緒に模擬面接を実施する方法。自社の採用活動に即した内容で直接フィードバックを得られる。 |
e-ラーニング・動画 | 採用支援の専門会社などが提供しているe-ラーニングや動画で学ぶ方法。 |
面接官トレーニングのプログラムを社内で整えることが難しい場合には、外部の専門家に依頼するという手もあります。弊社トラコムでも、面接官トレーニングの代行サービスを提供していますので、ぜひご活用ください。
優秀な面接官の存在は、採用ミスマッチを防ぐためだけではなく、企業の顔として自社のイメージを左右する重要な要素の1つです。
面接官は、候補者の緊張をほぐしたり、非言語コミュニケーションを駆使したりなど、多くのスキルが求められます。面接官に適した人材を見極め、効果的なトレーニングを実施することは、企業にとって重要な課題です。
当ページでご紹介した質問例や面接のコツ、トレーニング方法を参考に、自社の面接をレベルアップさせ、採用活動を成功に導いていきましょう。
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