
トラコム社員がお届け!
外国人採用は、人手不足の解消や企業のグローバル対応力を高める方法として注目されています。しかし、「ビザの取得方法がわからない」「文化の違いによるトラブルが心配」といった不安から、採用に踏み切れない企業も少なくありません。
当ページでは、外国人採用の基礎知識を学んだうえで、採用前に確認すべき注意点や 求人広告のポイント 、具体的な採用の流れをわかりやすく解説します。具体的な記事の内容は、以下のとおりです。
「成功事例」や、「トラコムならではの外国人採用のポイント」も交えて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
トラコムが2025年1月に実施したアンケートでは、「外国人採用に関心がある」「トラブルなく進めたい」という声が寄せられました。こうした関心の高まりは、社会全体の動きとも一致しています。
近年、日本の外国人労働者数は増加し続けています。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によれば、令和6年10月末現在の外国人労働者数は230万2,587人で、過去最高を更新しました。
以下は、厚生労働省の統計に基づく外国人労働者数の推移(2020~2024年)です。
年度 | 外国人労働者数(人) | 前年比増加数(人) | 前年比増加率(%) |
---|---|---|---|
2020 | 1,724,328 | +65,524 | +3.9 |
2021 | 1,727,221 | +2,893 | +0.2 |
2022 | 1,822,715 | +95,494 | +5.5 |
2023 | 2,048,675 | +225,960 | +12.4 |
2024 | 2,302,587 | +253,912 | +12.4 |
外国人労働者の増加は、少子高齢化による労働力不足が背景にあります。政府の受け入れ推進や、日本企業のグローバル化への意識の高まりが、外国人採用の拡大につながっています。
外国人採用には、企業にとって多くのメリットがあります。主なメリットは以下の3点です。
企業は短期的・長期的なメリットを踏まえ、自社に外国人採用が必要かどうかを見極めましょう。
日本では深刻な人手不足が続いており、外国人採用は有力な解決策のひとつといえます。
厚生労働省が公表したデータ(※)によると、2023年時点で多くの企業が人手不足を感じています。特に中小企業では、その傾向が顕著です。
外国人労働者の受け入れにより企業は労働力を確保し、安定した事業運営を実現しています。実際に、外国人を雇用する事業所数は2020~2024年の5年間で約28.0%増加しました。
多様なスキルを持つ外国人労働者は、企業の成長を支える重要な戦力といえます。
外国人採用は、企業の国際的な対応力を高めることにもつながります。具体的なメリットは次のとおりです。
経済産業省の事例(※)では、2007年に外国人留学生の採用を始めた企業が、取引先を46か国に広げ、海外売上高比率50%を達成しています。外国人採用が適しているかどうかは、中長期的な事業計画に応じて判断しましょう。
外国人を採用する企業は、条件を満たせば助成金を活用できます。
厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」では、外国人の就労環境整備に最大72万円が支給される場合があります。たとえば、就業規則の多言語対応や相談体制の整備などが対象です。
助成金が活用できれば外国人採用を進めやすくなり、外国人の定着率向上や離職防止にもつながります。
人材採用で使える助成金については、以下の記事でも詳しく解説しています。
採用助成金とは?種類・申請条件・手続き方法を徹底解説
外国人採用は特有のデメリットが生じやすく、事前に対策が必要です。特に、以下のような点には注意してください。
外国人の採用活動を始める前に課題を想定し、社内体制を整えておくことが理想です。
外国人採用では、言語や文化の違いによる摩擦が課題になりがちです。厚生労働省も「外国人採用では日本語の文法や語彙だけでなく雇用に関する知識や文化の違いを克服すべき(※)」と挙げています。
こうした摩擦を防ぐには、採用後の丁寧なコミュニケーションや異文化理解を促進する研修などが大切です。
外国人の採用には、ビザの申請や在留手続きなど、事務手続きの煩雑さが伴います。
就労系の在留資格の審査期間は申請内容や時期によって数ヶ月かかる場合があります。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の新規申請では、出入国在留管理庁による標準処理期間は1~3ヶ月です。
ビザの申請中は外国労働者が労働できないため、正式な入社までに必要な期間を確認しておきましょう。
在留資格に関する制度を正しく理解していないと、不法就労に該当し雇用契約自体が違法になるリスクもあります。
また外国人採用の場合でも労働基準法や社会保険制度を適切に守らなければ、法的リスクにつながるおそれがあります。過去には、以下のような違反事例も散見されました。
企業は関係する法律を把握し、外国人労働者に対し適切な労務管理を行うことが大切です。
外国人採用を成功させるには、以下の点に注意する必要があります。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
外国人採用を始める前に、自社の求める人物像や必要なスキル・経験を明確にしましょう。
日本語レベルを確認する方法には、主に以下の方法があります。
また外国人採用においても、採用ターゲットの選定は必須です。採用ターゲットがあいまいなまま進めると、採用率や定着率に悪影響を及ぼします。
採用ターゲットの決め方について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「採用ターゲット」を決める上で大切な3つのポイント
外国人を採用する際は、適切な在留資格を持っているかどうかを必ず確認しましょう。
日本の在留資格は30種以上あり、それぞれ就労できる業務内容が異なります。たとえば、「特定技能1号」を持つ外国人は、介護、建設、農業など14の指定分野でしか働けません。
不法就労を防ぐためにも、採用基準と必要な在留資格を事前に明確にしておくことが大切です。
外国人を雇用する場合、企業はハローワークに「外国人雇用状況届出書」を提出する義務があります。
届出を怠ったり、虚偽の内容を記載したりした場合、企業は罰則が科されることもあります。なお、雇用保険の被保険者となる外国人労働者については、資格取得・喪失の手続きと併せて届出を行いましょう。
外国人労働者の在留資格には期限があります。在留期限が切れる前に、更新手続きを行うことが必要です。
本人が在留期限を把握していないケースでは、意図せず不法滞在になるリスクもあります。不法滞在者を雇用した場合、企業側は不法就労助長罪に問われるおそれがあります。
企業は在留期限を定期的に確認し、更新が必要な社員に対しては適切なサポートを行いましょう。
外国人採用をスムーズに進めるには、求人募集からビザ申請までの各ステップを正しく踏むことが大切です。以下に、外国人採用の主な流れをまとめました。
具体的な手順を確認していきましょう。
まずは求人サイトや人材紹介会社などを活用し、外国人採用に向けた募集を行います。求めるスキルや人物像に応じて、英語など他言語での求人作成も検討しましょう。
外国人向けの求人広告を作成する際、「人種や国籍を限定する表現」は職業安定法で禁止されているため注意が必要です。
下記に、外国人向け求人広告のNG表現例をまとめました。
また、「外人」などの表現も差別的とされるため使用を避けましょう。
求める人材に応じた表現の工夫については、以下の記事をご参照ください。
求人広告の書き方・表記規定をまとめて解説!効果を上げる原稿作成のコツもご紹介
採用選考に進む前に、応募者の在留カードの有効期限と在留資格を必ず確認しましょう。在留資格の確認方法は、以下の2点です。
出入国在留管理庁では、在留カードの偽造・変造への注意喚起がなされています。不審な点がある場合は、目視だけで判断せず、専用アプリや「在留カード等番号失効情報照会」サイトを活用してください。
外国人採用における面接では、スキルや経験だけでなく、日本語能力やコミュニケーション力も評価対象です。
外国人採用では対面に加えて、時間や場所の制約が少ないWEB面接も検討しましょう。通訳スタッフや外国人対応に慣れた担当者が面接を行うことで、より公平な評価につながります。
また文化的背景の違いから、日本人とは異なる表現や態度が見られることがあります。表面的な印象にとらわれず、本質的な能力を見極めることが大切です。
採用が決まったら、労働条件通知書の作成や雇用契約の締結など、通常の雇用手続きを行います。労働条件通知書は、可能な限り外国人が理解しやすい言語で作成することが大切です。
ビザ申請の手続きでは、在留資格によって申請内容が異なります。以下に、外国人の状況別に必要な手続きをまとめました。
採用する外国人の状況 | ビザ申請の必要な手続き |
---|---|
新規入国者(海外在住) | 在留資格認定証明書の交付を申請する。 |
日本に在留済みの外国人 | 「在留資格の変更」または「就労資格証明書の申請」を行う。 |
外国人採用における雇用手続きやビザ申請は複雑になりがちです。社会保険労務士や行政書士など、専門家のサポートを活用することも検討しましょう。
外国人採用は日本人採用に比べて複雑な点が多く、初心者にはわかりづらいこともあります。ここからは、外国人採用に関するよくある質問をまとめてご紹介します。
永住権を持つ外国人には就労制限がないため、日本人とほぼ同じ手続きで雇用できます。在留資格の確認やビザ申請は不要で、雇用契約や労働条件も日本人と同様の内容です。そのため、永住者は企業にとって採用しやすい人材といえます。
ただし求人募集時に「永住者に限定」と明記することは、原則として避けましょう。国籍や在留資格を理由とした差別的な取扱いと見なされる可能性があります。
国籍だけを理由に不採用とすることは、雇用対策法により認められていません。厚生労働省も、国籍を理由に不利な扱いをしないよう指導しています。
ただし、業務に必要な日本語能力や文化への適応力など、合理的な理由があれば考慮しても問題はありません。重要なのは、国籍ではなく能力や適性に基づいて公正に評価することです。
外国人応募者への不採用連絡は、日本人と同様に丁寧かつ慎重に行いましょう。
法律上、企業には不採用の理由を伝える義務はありません。しかし応募者の心情を考慮すると、可能な範囲で理由を伝える方が親切です。
ただし差別的な理由や主観的な評価は避けてください。たとえば「日本語能力が不足している」と伝える場合は、必要とされる具体的なレベルなど、客観的な説明を添えるのが適切です。
不採用通知の書き方など、詳しくは以下のページをご参照ください。
不採用通知の書き方を例文付きで解説!メール・郵送・電話の各パターンを紹介
外国人採用では、在留資格の確認やビザ申請、言語・文化への対応など、特有の手続きや注意点が伴います。求人、応募対応、入社後の管理など、実務面に課題を感じる企業も少なくありません。
トラコムでは、豊富な実績をもとにさまざまな採用支援を行っています。求職者の傾向を踏まえた原稿作成や、応募管理システムの導入支援など、貴社の状況に応じたサポートが可能です。
「採用ターゲットを明確にしたい」「応募管理を効率化したい」といったご要望があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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