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「Indeed(インディード)」や「Airワーク 採用管理(エアワーク)」など、求人広告を企業側で作成できるサービスが増えたことで、「ここの項目はどう書けば良い?」「こんな表現しても大丈夫?」など、求人原稿の書き方にお悩みの方は多いのではないでしょうか。
求人原稿を作成するうえで表記できないワードや表現があります。表記規定に反する内容の場合、応募者とトラブルになるリスクや、掲載不可となってしまうリスクもあるため注意が必要です。
本記事では、求人広告の表記規定について、押さえておきたいポイントやNG例など、法的な観点を踏まえて項目ごとに解説します。採用の効果を上げるための原稿作成のコツもご紹介していますので、自社で原稿を作成する機会がある方はぜひご覧ください。
求人広告には、必ず記載しなければならない必須項目があります。厚生労働省のサイトには、少なくとも以下の事項を書面の交付によって明示しなければならないと記載されています。
これらの項目ごとに、押さえておきたいポイントや効果を上げる書き方のポイントをご紹介します。
賃金=給与・報酬については、求職者からの企業に対する信頼につながる重要な部分でもあります。求職者との信頼を保てるよう、慎重に検討し、下記のポイントを押さえた表記をしましょう。
賃金についての表記で注意するポイントの1つが、今回採用する方に適用される給与・報酬の「最下限額」を明記しているかどうかです。最下限額を記載しないと法律に抵触してしまう恐れがあります。
採用後に昇給した場合の金額を表記することはできません。今回の募集で採用する方に適用される給与・報酬金額を提示してください。
※原稿表示では「税込み」の金額を提示する必要がありますので、インボイス制度適用後の金額(税率適用)を反映することは控えましょう。
◆平成29年の改正において、「固定残業代」が給与に含まれている場合はPDFを参照していただき、原稿に反映する必要があります。
表記例:●時間の残業時間に対して、▲▲円支給 + ●時間残業分を超過した分は別途支給
参照:厚生労働省/『平成29年職業安定法の改正等-労働者を募集する企業の皆様へー』
注意すべきポイントの2つ目が、最低賃金を下回らないことです。
各都道府県ごとに毎年10月1日より適用・更新される最低賃金を守る必要があります。
参考記事:【2023年度版】最低賃金引き上げの見通しは?注意点と企業の対策も解説
◆割り増し支給についても最低賃金が適用されます
最低賃金×25%が残業代の最低賃金になります。
また、実働8時間超えの残業=25%割り増し に加え、2023年4月1日からは月60時間超えの残業に対しては50%割り増しとなりました。
最新の最低賃金の額や、特定のエリアの平均給与などが知りたい場合は、弊社でお調べすることも可能です。お気軽にお問い合わせください。
就業時間・休憩時間は、実働もしくは勤務時間の幅が明確に記載されている必要があります。これは求職者が仕事を探す際、「1日(週or月)の内、どの時間帯に、週でどのくらい(日数・時間)働きたいか」をある程度決めている場合が多いため、マッチングの面においても重要となります。
求人原稿に落とし込む際、違法に見えてしまう表記は求職者の信頼を損なう可能性があるため十分に注意しましょう。特に、休憩時間・残業時間などの記載を反映する際は、法律と照らし合わせて見直しをされると良いでしょう。
【NG例】9:00~17:00(実動8時間) →始業~就業まで休憩が一切ないように見えてしまうためNGです。
【OK例】9:00~17:00(実動7時間) →休憩がきちんと法定通りに付与されている時間の幅になっているためOKです。
【NG例】残業をしてもらいます! →強制的に残業をさせてしまっているように見えるためNGです。
【OK例】残業で稼ぎたいと思っている方歓迎! →働き方の提示になるためOKです。
求職者から誤解されるような見え方になっていないかな?など、不安に思われる場合は弊社までご相談ください。
休日・休暇の項目も、求職者とのマッチングにおいて重要な項目となりますので、なるべく詳細を反映していただくことをおすすめします。
◆押さえておきたいポイント!
法定では、0時~24時まで仕事がないお休みが週1日あることが前提となります。
求職者側は上記2つの違いが分かりにくいため、「週休2日制」の表記には、休める頻度などを併記し、誤解のない表記にすることを努めましょう。
【表記例】週休2日制(土日祝)※月1回土曜出社あり
8時間以上の労働が発生する場合に「時間外労働」となります。また、残業や早出、夜勤・宿直が発生する場合は、応募者に伝える必要があります。
応募者によっては「割り増しされる時間帯に働きたい」という希望もありますので、あながちデメリットではありません。
採用成功のためには、メリットとして感じてもらえる方を採用ターゲットにするなど、ターゲット設定から考えることが重要です。求職者から魅力的に思ってもらうにはどんな書き方が良い?など、悩まれる方は弊社までお気軽にご相談ください。
業務内容・仕事内容の書き方のポイントは、今回の応募者にお任せする業務内容を具体的かつ詳細に記載することです。
雇用形態別に具体例を交えて解説します。
任せる業務範囲や求めるレベルは採用した人を見て…という企業様も多いと思いますが、それでは求職者の応募動機は醸成できません。特に正社員・契約社員の場合、将来どんなスキルアップ・キャリアアップができるか?を気にされる方は多いです。
入社してすぐにお任せする業務内容
↓
レベルに応じていずれお任せしていく業務内容
↓
将来的にお任せしたいこと/こうなってほしい将来像
といった順番で原稿に反映していくのがおすすめです。
新卒だと「成長できる会社かどうか」を重視する傾向が高く、中途の転職の場合だと「なりたい自分になれるか」を重視する傾向が高いです。
アルバイト・パート・派遣の募集で使用頻度が高いワードとしては、「簡単な仕事」「誰でもできちゃう」などですが、これだけではあまり丁寧とは言えません。
簡単と思うレベルは人それぞれ。そのため、「◯◯と◯◯をするだけ!な簡単な仕事」と理由も付けて伝えるとより親切と言えます。
人口減少の問題と共に、業務・業界経験者自体が少なくなる中ですが、「どういった仕事をお任せしていくのか」を具体的・詳細に示してあげることで、「◯◯だけだったらできそう!」「自分の強みや培ってきたことがつながりそう!」などと、即戦力となれる方へのアプローチにもつなげることができます。
試用期間や研修が発生する場合は、求人原稿や労働契約書に記載する必要があります。
参照:厚生労働省/『平成29年職業安定法の改正等-労働者を募集する企業の皆様へー』
研修の最大期間(時間・回数でも可)
+
その間の労働条件で変動する部分について(変動がない場合も記載)
を明記しましょう。
【記載例】試用期間3ヶ月(労働条件に変動はなし)
【記載例】研修期間1ヶ月(既存店舗での勤務となります)・・・勤務地や給与、時間、待遇に変更がある場合は記載が必要です。
2024年(令和6年)4月1日より、労働条件通知書には、契約期間の記載が明示しなければならない項目として定められます。有期雇用契約でアルバイト・パート・契約社員・派遣社員を雇う際に明示が必要となります。
変更理由も明記が必要になりますが、厚生労働省からの資料では、「勤務成績、態度により判断する」、「会社の経営状況により判断する」など、具体的に記載いただくことが望ましい、とされています。
どのような状況になったら切り出すのかなど、タイミングを記載していただくのが良いでしょう。
参照:厚生労働省/有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について
就業者が「出社」する場所を記載してください。最近では在宅勤務やリモートワークも市民権を得てきているので、対応具合も反映していただけるとより親切な内容になります。勤務1年経過後から在宅勤務も相談OKなど、社内制度を記載いただいても問題ありません。
「就業場所」は労働条件通知書にも反映している項目ではありますが、2024年(令和6年)4月1日より、就業場所及び「変更の範囲」を表記する必要があります。
通勤時間は日常生活の中で大きな時間を占める場合もあるため、求人原稿には詳細に記載しましょう。
平成29年職業安定法改正に伴って、募集時の(当初の労働条件)の明示項目として「社会保険・労働保険の適用」についての明示が求められました。
参照:厚生労働省/『平成29年職業安定法の改正等-労働者を募集する企業の皆様へー』
加入保険とは、採用された際に、求職者が加入する社会保険(雇用・労災・協会or組合の健康保険・厚生年金保険)や共済、国保などを指します。
厚生労働省からも労働契約書に記載し、就業者に対して明示をしなければいけない「最低限明示しなければならない労働条件など」として項目に挙げられています。
加入する保険については、掲載企業様の規模や業態が深く関係してくるため、どのように求人原稿に反映すれば良いかのご相談も受け付けております。お気軽にご相談ください。
令和2年4月1日より、職業安定法の改正に伴い、労働条件契約書内に「受動喫煙防止措置」の明示が求められています。明示内容については、各就業場所で講じられている受動喫煙防止措置を原稿に反映する必要があります。
各就業場所の喫煙状況をご確認のうえ反映ください。
参照:厚生労働省/『受動喫煙防止』に向けた取り組みについて>
上記の必ず記載しなければならない情報の他にも、求人広告には記載したほうが良い情報があります。求める人材を獲得するうえで重要なポイントになりますので、ぜひ参考にしてください。
人材採用のマッチングを高めるうえでも、求める人材の記載は重要です。ですが、性別・年齢・国籍・出身・居住・信仰、その方の生活状況やプライバシー・性格などに触れてしまう部分を応募条件とすることはできません。業務を遂行するうえで求めている、(必要な)学歴・資格の有無・能力/スキル・志向を反映する項目となります。
求職者が「自分の強み・スキル・経験が活かせそう」と感じとれるような表記を目指していただければと思います。
また、「コミュニケーション能力がある方」と記載された求人を多く見ますが、具体的そうで具体的ではない表現になってしまっています。今回募集する職種や業務内容と当てはめて、「人の意見を聴く傾聴力がある方」「ご自身で発信することが得意な方」など、より具体的で、求職者自身が判断できるような記載が良いでしょう。
企業様の理念やポリシー、姿勢などを原稿内で示せれば、応募者自身が判断・理解・納得できる内容となります。社員募集の場合には、募集業務や会社の方針に共感できる方のほうが会社に定着すると考えられているため、どんな人が欲しいかばかりではなく、会社側の気持ちも伝えてみてはいかがでしょうか。
求人広告において、年齢を制限する記載は原則として禁止されています。年齢制限を行いたい場合は、例外事由にのっとって行う必要があります。
【例外事由】
労働契約法や労基法などの「例外事由」に当てはまる場合は、応募できる年齢を絞ることができます。
※年齢制限の募集を行う際は「例外事由」に該当していることを原稿内で明示する必要があります。
※例外事由1~3号(イ・ロ・ハ・ニ)でそれぞれ条件が設けられています。
■例外事由3号のイ:長期キャリア形成(長期勤続によるキャリア形成の観点での年齢制限)
若年層の募集として長期キャリア形成の年齢制限が設けられています。
ですが、適用した募集をした際は就業経験者に対しての呼びかけは一切できません。
転職者・フリーター歓迎など、就業経験がある前提の方への「歓迎表記」もしてはいけません。
表現に不安がある場合は、弊社までご相談ください。
年齢制限に関する求人広告の書き方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
求人募集広告内で年齢制限をするには。「35歳以下」などの記載もできる2つの方法
企業が就業者に適用する制度を記載するのが望ましいです。また、読みやすさ・理解のしやすさの観点から、原稿内にバラバラとちりばめて記載するよりも、1箇所にまとめて記載するのが良いでしょう。
【記載例】
※その他の会社特有の制度があれば記載可能です。
※社用携帯/スマホ、社用車支給など、利用できる福利厚生について記載できます。寮・借り上げ社宅の場合は、家具家電付き・Wi-Fi/インターネット状況などを原稿に反映できると、よりメリットとして感じてもらえるでしょう。
基本的には、最寄りの鉄道の「駅」からのアクセスを記載いただくのがベストです。バス停は場所が変わったり、配置が変更されたりする可能性もあるため、代表的な交通案内を載せるとしたら、駅を基点とした案内を載せるのがベストと言えるでしょう。
車通勤がOKの場合や、駅から離れている場所が勤務地の場合は、高速を利用したり一般道を利用して通勤するイメージを伝えるため、インターチェンジからかかる時間を記載するのも良いでしょう。
採用選考においても、年齢・性別・国籍・信条(宗教)・居住地による選考をしてはいけません。採用選考基準を応募者に開示する義務はないものの、応募者に対しての発言や対応は慎重に行いましょう。
当然、面接では聞いてはいけない質問内容もあります。
面接で聞いてはいけないNG質問はこちらの記事にまとめています。併せてご覧ください。
求人広告には記載しなければならない項目がたくさんあります。また、記載してはいけないNGワードや表記ルールがあり、これを遵守した表記が求められます。
今後、自社の採用サイトでの募集や、Indeed・Indeed PLUSなどを活用して自社で求人を作成する機会が増えていくと思います。会社としての信頼を得るためにも、本記事の内容をお役立ていただけると幸いです。
弊社トラコムでは、求人広告代理店*として、企業の採用支援を行っております。豊富な実績にもとづき、求職者の動向や思考を踏まえた原稿のご提案が可能です。
求人広告への掲載の際に「採用するターゲットを絞りたい」「求人原稿の書き方がわからない」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
*弊社トラコムは、リクルート正規求人広告代理店、Indeed正規代理店(Indeedプラチナムパートナー)に認定されています。
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